/*----- 【錠の14】 さては△あるとき女性の鑑別所員に 『△君。今度、家族のかたが面会に来られたときにでも、いくらかのお金を貰っておくといいわよ』 と言われたるるもので其れならばと両親が面会に来た折に何百円かの硬貨の要求をばした△であるに其をば聞いたる両親 『それっぽっちでいいのか?』 と焦燥をばしたるる顔の目をば少しの間丸くとしたもまさか自分たちの息子がこのようなる犯罪をば犯した挙句に鑑別所にまで送還をばされるなどとは思いだにしておらずに育てかたをば間違うたかとか期待をば裏切られたかというよりは裁判をば受けたる時分の△と同じくにただただ呆ける他なくして涙流してしばしの後に面会室をば出たも当の△両親の気の持ちようをば何処までと理解をばしてようかのことでさては鑑別所内で資金をば必要とするものは其れほどには多くはなく菓子の他には洗面用具やら最低限の生活用品だけでありてそれらの購入をばする価格も相場の何割かであるに千円の札が一枚とあれば一週間以上は困ることはなしで元々があまり悪ぶる態度をば取ることのない△普通に生活をばしておれば模範囚であるも毎朝起床と同時に行なわれる体操だけはあまり好きにはなれずにおりさしたる運動などはしておらずも何故であるのか食事は特盛りの麦飯におかずもこれまた特盛りで当初の△麦飯が何であるのか分からずに 『ご飯の中に黒いものが沢山浮いています』 などと本気で鑑別所員に問い質して大笑いをばされたもお粥や雑炊の類ではなく飯であるので浮いておるのではなくて正しくは混ざりおる訳であるがそれであるので余計にと其れらをば食べきることは辛い作業でありて入所からしばらくの間はその麦飯をばどうしても口に運ぶことはできずがやがてそれにも慣れたのことでさては入所時には個室に入れられた△自身が当初に思うたより余程快適なる暮らしができておることも幸いとしてか模範的であり幾度か両親が面会に来た時分にも落ち着いて一通りの会話をばしてみせたものであるにそのようなる生活の態度が認められたのか割と早くに八人ほどで使うことを前提としたるる大部屋にと移ることとなることに私事をば気にはすれど入所者の数の少なさ故から其れな大部屋をば二人で使うることができもうしはまるで修学旅行やら何やらの合宿かというようなる気分をば味わ
現在Facebook上で、小さく区切った物語をアップロードしています。 興味があれば、覗いてみて下さい。 色々な作品を入れるブログにもしてみます。 【錠の1】をKindleで置いて頂いています。ブログと同じです。