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【錠の15】
カツン…カツン……
△と少年が居る大部屋の前の廊下を夜中に誰ぞが通り行く音がするものであるに△傍で眠る男に目をやりながらもどうせ鑑別所員の見回りであろうなどと
『全く。あのブーツの音が響いて眠れやしない』
布団の中で悪態をば吐いたも其な後で
『ブーツ???何故僕は、鑑別所員がブーツを履いていると思ったんだろう?』
と訝しんだがかつかつとしたるる音は一端は遠退きまた近付いてはかつ!と一際しかとした音と共に大部屋の前で止まりたもので△布団の中からそろぅと其な鉄扉のほうへと目をばやると暗くて顔はよく見えなんだも水火夫服ともいうじょんべらなる服に銃剣をば携えたる男がじぃと見ておるので此は何ごとかと恐ろしさが込み上げ何とか傍で眠る男を起こそうとするも左半身に何やらとしたるる重みをば感じたものであるに其方にと目をば落とすやこの世のものとは思えんほどに恐ろしい形相をばしたるる△の母親が今正に△の首に手をば掛けようとしておるのさまを見て
『うわぁ!』
と布団を押し退けて叫んだ△であり自身の叫び声で目をば冷ました△只今のことは夢であるやと気が付きしは一息吐いた後で傍で眠る男を見るやまるで何ごともないようにすやすやと眠り続けるままであるに△今の叫び声が実際のところは発生が成されなんだのや?などと考えていればまたにして廊下を歩く者の気配がするものでありてはこれまた自身たちが居る大部屋の前で止まりて部屋の中を覗くものであるに△速く何処かへ行けなどと念仏のように唱えをするのであるが音の主は
『△君。隣で寝ている子の迷惑になるので、自分が眠れなくても、あまりぶつぶつと言うのは、感心をしないよ』
などと言うもので其が鑑別所員だと気が付きし△心底安堵なるのさま。
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