丁度錠の粗筋というか、骨子をメッセンジャーに記した時分のことですが、とある歌手が巻き込まれた洗脳についてのことが放送をされていました。
また、この投稿の年代のことと今とでは、しまなみ海道にしても全くと違い、芸術祭や他のことなどでも、良くなってもいる面もあるようです。
これは単なる物語ですが、厚みが増すこと有り難いですね。
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【錠の18】
二年の月日はあれよという間に過ぎ行きてはそうとしておるうちに△の保護観察処分は解けたも◇とは電子の文でのやり取り以来何処かぎくしゃくとしておるものであるからにして次第に会うの理由がなくなるの△としては◇との関係をば更なる密にとせんが為からにもも少しなりと時間をば掛けたりとしたいに似る気の持ちなるのようではあるもともかくにして処分が解けたることをば素直に喜んでおりまたこの頃に△幼少期をば振り返ることが多くとありさては半ば廃墟と化したる街のことを思い返せば其処は静かと沈み暮らする者皆々草臥れての下ばかりを観ておるのことを確かと覚えておるのであろうが現実には自身の知らぬるところや知らぬる時の間にしても街の中に居る者々皆からにして此な時代をば逞しくに生きておるのことであるものでさてはこの頃の丁度に一大なる事業として興されたる『しまなみ海道』なる施設も観光の名となるの所のなさから此の街は他の街への通過点にすらなれておらずであり地元の新聞やら同なるの雑誌などがこれで景気が上向くなりやとこぞり報じたも事態は逆に窮まり本土と繋がる橋はあれどの街は正に瀬戸内海に浮かぶる孤島と化したに其な事態をば見据えての△刻の市長に電子の文をば宛てておるも其は読んですらもらえずは当然でならばと市政に関係をばする者の下へと幾度か訪ねてみるも
『若僧が!何言うものぞ!其方宣いしこと正に気が触れておるとしか思えんに今の今に言うたることは正気の沙汰であるのかぇ』
などと一喝というには幾分なりと長くの言をば投げられてはおつきの者にも一笑にふされるだけとくれば何をばしに訪ねたのか分からずがしかし△が存外に扱われたのには別なるの意味があり『しまなみ海道』施設には来る日の此な街をば他市にと吸収合併をばさせる為なるのことであり街に住む者等の反発をば逸らする役割をば持つのことで言うなれば両方が組みとなりて何年も前から綿密にして計画をばされたる街を売る計画でありさてはいざいざと他市との合併はなりたもその後に事態は更に悪化をばしたるるに元来が田舎の牧歌的なる暮らしをば土台とする者等此な窮地をば脱する術なく今は日本中がこの様であるのでと口をば揃えての溜め息をば零すのことしかできずでそれであるからかこの頃の△街に住む者等の此な落差に当惑をばした様も朗らかでありさては更に何年か経ち自身が観てきた街と現実の街の違いに戸惑いながらも友好関係をば積極的に広げてのことであるので其は何時しか真面目で働き者という評判が独り歩きをばするまでになりおりのある日のことは勤務先である総合施設にもうの何年も前に忘れた名前からの小包が宛てられたもので差出人は◇とありそのままにしておくわけにはいかず取り敢えずはと持ち帰り開けてみるや中には小年法改定やら保護観察に対する書類の束がありどうも◇は△が使うた時間と同じだけを使い其れらについてを調べてのことであるようで一応なりと其に目をば落とした△にも当時の大人達が少年達をば豚鼠としての新たな取扱説明書をば作ろうとしてのことに気が付けたも途中となりし自己改造程序のことを丁度に思い出しての悪気もあり折り返しの連絡をば躊躇ううちに日々は流れてのしばしのこと◇からまたもやの封筒が届いたのことであり△其の日は仕事の仲間に
『自分の知らないところでも、時間が止まっているわけではないことは承知をしているつもりだけれど、ただ一点、自分に知らないことがあって、制御ができないことがあるなんてさ。それが耐え難い苦痛だよ』
などとの愚痴をこぼして帰宅をばした後は気は進まねど◇への返事に筆を執り
『お久し振りです。本当に何年振りでしょうか? 書類を送って頂き、有り難う御座いました。 さて、送って頂いた書類に早速目を通しましたが、それを読む限り、僕たちの罰はどうも最初から決まっていたようですね。 当時に僕の罰が確定をした時にも、警察官や裁判官の対応が、まるで下手な演劇を観ているかのように、ぎこちなく観えた理由も、これで得心がいきました。 同封をされていた裁判員制度について調べた書類ですが、確かに先頃よくよくと取り沙汰をされていましたね。 ですが僕は反対です。 だって、これは日本人の気質をまるで無視をしたような制度ですから。 何でもかんでもアメリカやヨーロッパに習え。は良いんですが、そもそもの裁判員制度は、個を重んじる教育の上に成り立っているのであり、そこへいくと日本の教育は暗記ばかりで教育とは名ばかりと言えばおかしいですが、組織の中で生きて行くことの重視をしたものです。 最近始まった、ゆとり教育にしても、その制度にゆとりがあるだけで、実際のところ、学ぶ者にとってはゆとりなどありません。 そんな日本人が、本当にこの制度に向いていると思われますか? 匿名でなければ意見を言うことを恐れての誰かが言っているのであればそれで良いという民族ですよ』
などと記しながらに△は◇が法律関係に詳しいことをば思い出して其と同時に◇があわよくば自身の役に立つのではないかとも期待をばしてのことが結局のところは其な◇にしても周囲に流されて小さな会社に事務職員として落ち着きさらばえての幾年のやり取りなど△は最早必要がないと思うておるようではあるも筆をば走らせて
『…実は、広島の鑑別所に入った頃に、この時分ほどまでの予定は立てていたんです。 何しろ、あの頃は考える時間だけは沢山ありましたから。 ですが、最近、やはり人間は難しいとよく思うんです。 例えば、人を動かすということは、感情に訴えることも同じですが、脳に対する刺激と同じで、このように刺激をすれば、こう。こう刺激をすればこう。などと、人間であればそのように反応をするんです。 これは洗脳などとは違い、対象者が、自分は人間であると自覚をしているわけですから、逃れる術はありません。 僕が部屋に紅い色の壁紙を貼るように、つまり、紅一色にしようとしたのは、そのほうが対象者を手っ取り早くに恐慌状態にできるからで、そこまでではなくても、普段とは違う感情を覚えることになるからです。 勿論、実際には部屋を紅一色になんてできませんので、紅いランプで代用をしたわけですが、秘密の遊びと称して、その中で行なってきたちょっとした自己改造プログラムだと偽ってのことは、本当に自分の考えに楔を打つものですが、まずは世間から隔絶をされた自分だけの空間を紅色にして、感情にちょっとした変化を付けて、何日もの同じ時間に同じ作業を繰り返すことによって、例えば何かを吹き込む下地を作っていただけですが、要するに、スポーツなどでも、動機付けというものがあり、それをしやすい下地のことです。 そうとしているうちに、僕の保護観察処分が解けてしまい、そのままになってしまっただけのことで、そのこと自体は何でもないことです。 但し、やりかたを間違えると、酷い場合には人格崩壊などに繋がる恐れがあるというだけです。 長々と記してしまいましたが、さてはこれで了とさせて頂きます』
などとした後に別紙に
『この手紙にしても、あなたという人称はどこにも出ていないとは思いますが、それがあなたに行動を起こさせるひとつのストッパーだからです。 書きかたに少し工夫をすれば、こうもできるということです』
とした後で筆をば置き其の紙面以外の投函をばせんやと封をばした△さては赤い色に纏わる別のことを思い出して自身にしてもその色が強烈に刷り込まれているのではなかろうかとも思えたようであるが深くは考えずのこと。
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